
【バレエの芯をつくる】ワガノワ・メソッドに学ぶ上半身の役割
バレエというと、つま先の美しさや脚のラインに目が行きがちですが、実は「上半身」こそが踊りの質を左右する大切な鍵を握っています。特に、ロシアの伝統的なワガノワ・メソッドでは、上体の使い方が全身のバランスと表現力に直結すると考えられています。
上半身は“動きの始まり”であり“支え”でもある
ワガノワ・メソッドでは、動きは脚からではなく、まず上体から始まるとされています。たとえば腕を動かすときも、肩甲骨や背中の意識が先にあり、そこから自然に腕が導かれていきます。これは、見た目の美しさだけでなく、動きに無理がなく、流れるようなラインを生み出すための工夫です。
重心は“下”にあるけれど、コントロールは“上”から
バレエでは重心を低く保つことが安定の基本ですが、その重心をコントロールしているのは、実は上半身。背中、腹筋、肩、首…これらがしっかりと整っていないと、脚の動きがブレたり、ポーズが崩れたりしてしまいます。つまり、上体は全身のバランスを保つ「舵取り役」なんです。
上体が整うと、踊りが変わる
上体を意識して動くことで、踊りの印象は大きく変わります。たとえばアラベスクのとき、背中から腕が伸びていくように意識するだけで、ラインがぐっと伸びやかに。ピルエットでも、背骨を軸にした上体の安定が回転の成功を左右します。
日々のレッスンで意識したいこと

- 頭蓋骨・肩甲骨・踵を一直線に保ち、身体の軸を明確にする。 → 骨格の整列を意識し、重力に抗わず、自然な垂直軸を感じること。これがすべての動きの基盤になる。
頭部の位置が上体の配置を決定づける。 → 頭は身体の“王冠”。その位置がわずかに傾くだけで、全身のバランスが崩れる。後頭部を高く引き上げ、首の後ろを長く保つことで、上体の安定と優雅さが生まれる。
- 肩甲骨は背中に静かに沈め、胸郭を広げることで腕の動きに空間と流れを与える。 → 腕は肩からではなく、背中から始まる。肩甲骨の安定が、ポール・ド・ブラ(腕の動き)に品格と深みを与える。
- 腹部と背面の筋群で軸を構築し、動きの中でも軸を保ち続ける。 → 体幹は“動かない”のではなく、“動きの中で安定する”。プリエやルルヴェ、ターンのすべてにおいて、軸の意識が動きの質を決定する。
- 動きの起点は常に上体から。
立つ、歩く、踊る——すべての動作は、上体の導きによって生まれる。 → たとえば歩くときも、脚を出す前に胸郭が空間を切り開く。バレエの動きは、重力に逆らうのではなく、上体のリードで自然に引き上げられるように見せる。
これらを意識することで、踊りの質がぐんと高まり、より美しく、しなやかな表現ができるようになります。

上半身は、まるでバレエという音楽の“指揮者”のような存在。脚や腕が奏でる動きを、上体が導き、支え、まとめてくれるんです。日々のレッスンでも、ぜひ「上体から動く」感覚を大切にしてみてくださいね。



